墓地の境界争いについて

墓地の「境界争い」について

越境トラブルを防ぐために知っておきたい基礎知識と対処法

「隣のお墓との境界がはっきりしない気がする」
「うちの墓石、もしかして越境していると言われた」
「昔からあるお墓なので、境界の資料が残っていない」

墓地をめぐるトラブルの中でも、境界争いは決して珍しいものではありません。特に古くからある寺院墓地や共同墓地では、区画の境界が曖昧なまま長年使用されてきたケースも多く、代替わりや墓じまいをきっかけに問題が表面化することがあります。

境界や越境の問題は、単なる「気まずさ」で終わらず、「墓石の移設や撤去を求められる」「改葬や墓じまいが進められなくなる」「親族間・利用者間の深刻な対立に発展する」といった事態につながることもあります。

この記事では、

  • 墓地における境界の考え方
  • 越境とは何を指すのか
  • 境界争いが起きやすい背景
  • 実際にトラブルが生じた場合の対応手順

を、法律と実務の両面から、専門用語を噛み砕いて解説します。
「争うため」ではなく、「揉めないため」に知っておきたい知識として、落ち着いて読み進めていただければと思います。

目次

墓地は、一般の土地と同様に、一定の区画ごとに使用範囲が定められています
ただし、多くの方が誤解しがちなのが、墓地の場合は「土地を所有している」のではなく、「使用する権利(永代使用権)」を持っている点です。

永代使用権とは、墓地管理者(寺院・自治体・霊園事業者)が所有する土地について一定の区画を墓地として継続的に使用する権利を意味します。このため、墓地の境界は「所有権の境界」ではなく、使用区画の範囲を示す線と理解する必要があります。

墓地の境界は、次のような資料や要素によって定められていることが一般的です。

  • 墓地使用許可証・使用承諾書
  • 区画図(墓地全体の配置図)
  • 墓地管理規則
  • 現地の境界杭・石・縁石

ただし、特に古い墓地では、「図面が簡略的」「境界杭が失われている」「口約束や慣習で区画が決まっていた」といった事情から、境界が曖昧になっているケースも少なくありません。

越境の典型例

墓地における越境とは、自分に割り当てられた区画の範囲を超えて、墓石や付属物が設置されている状態を指します。
具体的には、次のような例があります。

  • 墓石の基礎部分が隣区画にはみ出している
  • 外柵(囲い)が境界線を越えて設置されている
  • 香炉・灯籠・塔婆立てが越境している
  • 納骨スペースの地下構造が越境している

越境は、見た目には数センチ程度であっても、法的・管理上は問題として扱われる可能性があります。

墓地で越境が起きやすい理由には、次のような背景があります。

  • 昔の測量精度が低かった
  • 墓石建立時に境界確認を十分に行っていなかった
  • 墓地管理者の立会いが形式的だった
  • 後から周囲の墓石が建て替えられ、位置関係が変わった

特に、代々受け継がれてきたお墓では、「以前からこの位置だった」という認識が、必ずしも正確とは限らない点に注意が必要です。

境界争いが表面化しやすいのは、「祭祀承継者が変わったとき」「相続や承継をきっかけに書類を見直したとき」です。
新たな承継者が区画図を確認した結果、初めて越境に気づくケースもあります。

墓じまいを進める際には、「墓石の撤去」「墓地返還」が必要になります。この過程で、管理者や隣区画の利用者から「境界を越えている」と指摘されることがあります。

墓石を新しく建て替える際には、従来よりも大きな基礎を設けることがあり、その際に境界問題が顕在化することがあります。

墓地の境界問題において、最初に相談すべき相手は墓地管理者です。
墓地管理者は、「墓地全体の区画管理責任」「使用許可の発行主体」であるため、区画の正式な範囲を示す立場にあります。個人同士で直接争う前に、管理者を交えて話し合うことが重要です。

一般の土地の境界争いでは、所有権や登記が問題になりますが、墓地の場合は使用権の範囲の問題です。
そのため、「民法上の境界確定訴訟がそのまま当てはまるとは限らない」「墓地管理規則が大きな判断基準になる」という特徴があります。

まずは、「使用許可証」「区画図」「管理規制」を確認し、公式に定められた区画範囲を把握します。
この段階で感情的に反論することは避け、資料に基づく確認を優先します。

管理者立会いのもとで現地を確認し、「境界の位置」「越境の有無」「修正が必要かどうか」を整理します。
曖昧なまま話を進めると、後々さらに問題が拡大する恐れがあります。

越境が認められた場合でも、必ずしも即座に撤去しなければならないとは限りません。
状況に応じて、墓石の一部調整、将来の建て替え時に是正する合意、といった解決策が取られることもあります。

早期に対応するメリット

  • トラブルの長期化を防げる
  • 墓じまいや改葬をスムーズに進められる
  • 感情的対立を避けやすい

放置するデメリット

  • 次世代に問題を先送りする
  • 管理者から正式な是正命令が出る可能性
  • 撤去費用や工事費用が増大する

境界問題は「今は困っていない」からといって放置すると、後でより大きな負担になることがあります。

墓地の境界争いは、誰にとっても望ましいものではありません。しかし、「境界の考え方」「越境が起きる背景」「管理者の役割」を正しく理解していれば、多くのトラブルは防ぐことができます。

特に、「墓じまいを検討している方」「墓石の建て替えを予定している方」「承継したばかりの方」は、一度区画や契約書類を確認しておくことをおすすめします。不安や疑問がある場合は、早めに墓地管理者や終活・墓じまいに詳しい専門家に相談することで、安心して次の行動に進むことができます。


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